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篠田節子著
未発売のこの本を何故、私がもう読んでいるのか…? それは、拙著である「旅本」と同じ出版社(小石川書館)のご縁で 一足、お先に読ませていただいている、と言うわけなのです。 篠田節子さんと言えば、思いだすのは直木賞受賞作「女たちのジハード」 20年前の作品だから、読んだ記憶はあるけれど…なにせ遠い記憶過ぎる。 確か…何人かの女性のそれぞれの生き方を描いた群像劇であったと思うけれど 読書経験が豊富とは言い難い私のなかで、1冊読んだだけのその作品と 作家篠田節子さんの名前は完全に消えていた。 男の作家の描くリアリティのない女性像がどうも苦手で、 女性の作家ばかりを、好んで読んできたつもりなのに なぜ、篠田節子さんの作品をスルーしていたのだろう。 出版社への義理?で読み始めたわけではないけれど へぇ、エッセイ集なのね…と軽い気持ちで読み始めた。 最初の章は「アグリツーリズモ」についての紀行文である。 自分もフィレンツェから帰って来たばかりなので、とりわけ興味深く すいすい~と読み進んで行った…が これは、単なる旅のエッセイなんかじゃない。 膨大な資料と気の遠くなるほどハードな現地取材と 幅広い知識に裏付けられた、緻密で痛快な心躍るノンフィクションだった。、 あとがきのなかで、篠田さんは、こう語っている。 小説をかくうえで、取材したものの八割は捨てると。 旅先で収集した膨大な量の資料は厳選されて 作品のテーマやストーリーがブレないように、 書くうえで不必要な情報は、潔く断捨離する・・(えっ、勿体ない〜!) その捨てられた記録が、たまたま依頼された、エッセイの文章として 残ったものだというけれど、旅先で発掘したダイアモンドの原石みたいに なんとも魅力的な記録集だ。 「これはこんなもの」「これはこうあるべき」と言う世間一般の イメージがひっくり返される楽しさを味わって欲しいと篠田さんは言う。 私も、世間一般の価値観に密かに反抗しながら、 生きてきたという自負があるので ひっくり返される瞬間の楽しさがよく分かる。 チベットや、ラヤガタ(インドの先住民族の街)、ボルネオなどを 好奇心全開にして冒険家、篠田節子さんは行く。 私のように、軟弱な旅人は、一生、足を踏み入れることなどないが それぞれの土地で、篠田さんの眼と心を通して語られる びっくり話は 面白いだけじゃなくて、とても深い。 それに、思わず、クスっと笑ってしまう場面も多く シニカルで毒舌家だけれど、ユーモアたっぷりでお茶目な一面もあるひとだったのだ。 それぞれの章の文章が圧倒的に美しくて、いつまでも心に残る。 地元八王子のことを書いた章の中で「花々の宴に誘い込まれた夜」などは なんども読み返したほど大好きで、幻想的で美しく、ちょっと怖い。 篠田さんは無類の食いしん坊なんだろうと思う。 それぞれの土地で出会ったおいしい「食べ物」の話など 食いしん坊では負けない私は、猛烈においしい妄想をかき立てられ お住まいのある八王子の、おいしい食べ物やさんなどは、メモして 電車を乗り継いで八王子まで行ってみたくなる。 間に挟んである様々なジャンルの方たちとの対談も面白い。 特に、桐野夏生さんとの、言葉の応酬!なんか ライブで聞いていたいくらいのガールズトークが炸裂。 少々…小気味良過ぎな気がしないでもないが。 篠田節子さんの写真を見ると、美しい容姿はともかく、いつも柔らかな笑顔 そして、とても優雅で女らしい雰囲気だ。 (ちなみに、表紙のブルーのワンピースはご本人で、清楚な少女みたい) たった1冊のエッセイ集を読んだだけで、わかる術もないが 「外柔内剛」のひとなのだと思った。 内面は、男前なんていう生易しいもんじゃない。痩せているのに骨太なのだ。 たった1冊のエッセイ集を読んだだけなのに、もっと他の作品が読みたくなった。 著作はたくさんあるけれど、とりあえずは8冊ほど読んでみようと思う。 ひとりの作家に興味を持つと その作品を読み尽くすまで、やめられないのは、私のわるい癖なのである。 そうそう、大事なこと忘れておりました。 篠田節子さんのトークショー&サイン会が開催されます。 日時:2017年3月1日(水)19時〜 場所:八重洲ブックセンター本店 8階ギャラリー 詳細はこちらへ。 是非、ご参加くださいませ。 ミーハーを自認する私madameH、もちろん、行きますとも! ドキドキしながら、列にならんでサインをいただいてまいります。
by madameH
| 2017-02-15 08:00
| madameH的読書
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